憧れの人との最初で最後の一@KV

これは1980年の夏、初代林家三平師匠の家を初めて訪ねた日に、師匠のギャグ「どーもすいません」のポーズを一緒にとっていただいた写真です。この時は奥様の香葉子さんをはじめ、お母さまやお子さんもいる中、うな丼とそうめんをごちそうになりました。

 憧れの方にお会いし、ずっと緊張していたので、残念ながら味は覚えていませんが、とてもぜいたくな経験でした。実に三平師匠はこの2カ月後に54歳の若さで亡くなるので、最初で最後の貴重な一日となったのです。

 当時の「THE ALFEE」は「メリーアン」のヒットの3年前。メンバーを組んで数年、どんよりしていた時期などを超え、ライブが活発化しはじめていた頃です。さらに僕がラジオ「オールナイトニッポン」の第2部のDJを任され、それが結構な話題になり、事務所も僕たちも張り切っていました。

 そしてメンバーそれぞれが、ライブをもっと盛り上げるために、自分の得意なことを磨こうとなり、僕はトーク術を勉強したいと、前からとても好きだった三平師匠を、同じ事務所の林家しん平に紹介してもらったというわけです。

 当日は、僕のラジオ番組のコーナーでのインタビューという体裁でうかがったのですが、まだ駆け出しの僕を一人前に扱ってくださり、とても多忙だった三平師匠が時間をとって丁寧に話してくださったことに感動しました。また僕の番組の中で、「どーもすいません」のネタをもじったコーナーも勝手に作っていたのですが、それを聞いてくださっていたこともうれしかったです。

 この日の後、残念ながらお会いする機会はなかったのですが、三平師匠がラジオ番組で、「自分にはミュージシャンの弟子が二人いる」といって僕とYMOの高橋幸宏さんの名前をいってくれたのはとても光栄でしたね。9月に急な訃報(ふほう)を聞いた時は本当に驚き、残念でたまりませんでした。もっともっと高座にうかがいたかった。その12月にはジョン・レノンが亡くなり、この1980年という年は僕にとって、ひどく悲しい年として印象に残っています。

 僕が三平師匠の落語を好きだったのは、その話術はもちろん、革新的な試みをいろいろとしていたことが大きいです。特に参考になったのは、たとえ話がうけなくても、その時の感情を素直に表に出し、聴衆を笑いに引き込んでいくライブ感。そういった話術や感覚が、とても勉強になりました。お会いした後、落語や話術をより意識して学んだことが、ライブのMCに大きく生きたと思っています。

 その後、僕たちは「メリーアン」などのヒットに恵まれ、現在まで40年以上、ライブツアーを毎年欠かさずやってきました。まだ売れない頃に、先輩たちがライブツアーをしているのを見て、すごくうらやましかった。だからライブツアーへの思い入れがアルフィーは強いんです(笑)。僕たちは、いろいろとヒット曲は出ているものの、ミリオンセラーと呼ばれる大ヒットはまだ出ていません。メンバー全員がすでに還暦を迎えていますが、これからが本番。大ヒットを狙いますよ。

さかざき・こうのすけ 歌手、ギタリスト。1954年東京生まれ。桜井賢と高見沢俊彦とともに「THE ALFEE」として活動。73年、明治学院大学キャンパスで出会ったメンバーでグループを結成、翌年シングル「夏しぐれ」でデビュー。83年、デビュー10年目にしてシングル「メリーアン」が大ヒット。以降、日本の音楽シーンを代表するバンドとして活躍している。

◆THE ALFEEのメンバーたちが全員還暦を過ぎたことをきっかけに組んだバンド「The KanLeKeeZ」(ザ・カンレキーズ)が、最年長新人バンドとして待望のメジャーデビュー。12月21日にニューアルバム「「G.S.meets The KanLeKeeZ」をリリース。還暦を迎え初心に戻り、自分たちが子供の頃の60年代を席巻したGS(グループ・サウンズ)をさらに進化させた新しいサウンドを誕生させた。収録曲は「ブルー・シャトウ」「エメラルドの伝説」「フリフリ」などのカバー曲とオリジナルの全7曲収録。初回限定版Aには、その他、「花の首飾り」「神様お願い」など7曲収録のCD付きで3240円。通常版が2700円。

「もともと僕たちの音楽は、現代のGSだね、と言われることが多かったのですが、全員が還暦を迎えた頃、高見沢の中で何度目かのGSブームが訪れて、やろうということに(笑)。違うバンド名でやるのは、THE ALFEEの活動は別、と思うと僕らも気軽に挑戦できるので。問題は僕たち3人とも似合うユニホームを考えることでしたが、これはカラフルなミリタリールックで解決しました。GSは60年代に咲いた日本独特の音楽文化。今聴いてもすごくいいんですよ。やがてJ-POPにもつながっていくGSを、僕たちのサウンドで現代風にアレンジしましたので、ぜひ楽しんでいただきたいですね」
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